かなり久しぶりの投稿となります。
Windows2000時代の2DCAD (ドングルがパラレルポートタイプ) を、現在の64bit版Windows10でどうしても動作させる必要が生じ、いろいろと試してみることになりました。調査に時間がかかりましたがなんとかなりましたので、メモを残しておくことにします。
■古いPC環境
1. WindowsXP pro 32bit (Windows2000からアップグレード) のデスクトップPC (MicroATX) 、背面にプリンタ (パラレル) ポートあり

2. Windows2000時代に正規に購入された2DCAD (あえて名称は伏せます)、インストールCD、マニュアル、ドングルなどは全部揃っている
3. ドングル (プロテクタ) は、25ピンのプリンタ (パラレル) ポートを使用するタイプ (CADはとっくにサポート終了で、USBタイプにアップグレードすることはできない)

4. Sentinelのプロテクトドライバが使われている
■新しいPC環境
1. すでに用意されたWindows10 pro 64bitのデスクトップPC (MicroATX) 、64bit版の方がメモリを多く積める利点あり
2. LAN経由の共有フォルダとプリンタを使用するため、長く使うには2020年1月にサポートが終わるWindows7ではなく、最新の10でCADを使いたい (8.1のPCはもともとない)
3. 新しいPCの背面にはプリンタ (パラレル) ポートがない (ずいぶん前にUSBに駆逐されています) 、PCI-Expressの拡張スロットはある
4. Sentinelのプロテクトドライバは、ネットでWindows10対応版があることを確認済み
■問題点となるもの
1. OSを変えることでCADソフトが動作するのか
2. 32bitから64bitOSに変えることで問題が生じないのか
3. CADソフトのインストーラーは動作するのか
4. 新しいPCにはそもそも背面にプリンタ (パラレル) ポートがない!
5. プリンタポートがなんとかなっても、ドングルを認識することができるのか
新しいOSでCADが動作するのか、新しいハードでドングルが機能するのか次第ということになりますね。
■問題解決に向けての調査
1. CADのインストーラーは64bit版のWindows10では動作しませんでした。
しかし、古いPCにインストールされたCADのフォルダをそのままコピーしただけで動作することが確認できました。このCADはドングルを認識しない場合、幸いにも制限付きのデモモードで動作する仕様だったからです。念のため、Cドライブ直下にフォルダを置きました。
2. XPから10、32bitから64bitとOSに大きな変更があったにも関わらず、CADとしての動作に問題はでないようです。発売から20年近く経ったビジネスソフトがまだ現役で動作するのは驚きでした。
3. 新しいPCにはそもそも背面にプリンタポートがありません。そのため、PCI-Expressの増設カードでポートをつくればいいと考えていました。玄人志向の1P-LPPCIE2はハードウェアドングルの動作保証はしていませんが、動作報告はかなり多いようです。しかし残念ながら同梱のドライバソフトのインストールが今回どうやってもうまくできませんでした (ネットでドライバの最新版を検索しても見つかりません) 。別のPCではインストールできましたのでマザーボードとの相性問題がありそうです。USBからプリンタポートに変換するケーブルも考えましたが、ドングルの認識報告が全く見つからないため試してはいません。
4. ドングルを認識させるためには、プリンタポート (LPT1) とSentinelのプロテクトドライバの組み合わせが必要だそうです。SentinelのドライバはすでにWindows10に対応しており、インストールすることはできました。
■プリンタ (パラレル) ポートはつくれるのか ?
プリンタ (パラレル) ポートをつくれないのが最後の難関です。増設カード方式でうまくいかないのであきらめかけましたが、デバイスマネージャ内のポートにLPT1がなぜかもともとあったことを思い出し、マザーボード上にLPT (パラレル) の内部コネクタ自体があることに気づきました。このため、内部コネクタから背面パネルへ接続するブラケットを手に入れれば、問題は解消できそうです。ドライバは最初からWindows標準のものがすでに当たっているので当然LPT1として機能するはずです。早速ブラケットを購入しCADを起動させたところ、ドングルを認識し、デモモードではなく普通に立ち上がりました (ラスボス撃破!!) 。CADとしての動作も問題ありません。使ってはいませんが、今回のブラケットはついでにRS-232Cの通信ポート(COM1)も背面に復活できます。ちなみにですが、別に私が所有するGIGABYTEのH370のマザーボードにもLPTとCOMの内部コネクタは存在していました。


■まとめ (今回わかったこと)
1. インストーラーを使ってインストールできなくても、フォルダをコピーするだけで動作するCADはある (念のため、Cドライブ直下にコピー)
2. OSが新しくなり、32bitから64bit版にかわっても動作する古いCADはある
3. プリンタ (パラレル) ポートの追加は、増設カード方式だとドライバソフトをインストールできずうまくいかないことがある
ただし、マザーボードにパラレル (LPT) コネクタがある場合、接続ブラケットを使って背面にプリンタポートをつくることができる (新しめのマザーボードでも外に出ていないだけで、内部には用意されているのがあるんですね、知らなかった…)
4. 増設カードにしても、内部ポート経由にしても、ドライバでは LPT1として認識させなければならない (デバイスマネージャで確認、プロパティで変更可能)
5. CADのドングルは、パラレル (LPT) ポート経由でSentinelのプロテクトドライバを使ってCADの起動時に暗号のやり取りを行い、ソフトの使用許可を与えているデバイスである (たぶん他のパラレルドングルも同じかも)
6. OSに対応したSentinelのプロテクトドライバをインストールする必要がある
7. サポートが終了しているCADなので、セキュリティの問題や動作の不具合が起きないか少し心配
8. Windows10は半年ごとに大型のアップグレードを繰り返していくOSなので、CADは今動いていても、いつか動かなくなるかもしれない
9. 念のため、安定したWindows7か8.1でオフライン環境のPCを在庫しておいた方がいいかもしれない (10で動作するのだから、7か8.1でも動作するでしょうね、たぶん)
解決できて本当に良かったです。今回はすごくラッキーでした。ネット上では同じような感じで苦心されている方がいらっしゃるようでしたので、今回久しぶりに投稿することにしました。検索で引っかかり、ご参考になれば幸いです。どこか違っていたらごめんなさい。
